コンサルティング事例


ケース1

A子さん(29歳)人事ジェネラリストを目指して転職活動を行う採用担当者。

経歴と活動状況

中学・高校時代をアメリカで過ごしたバイリンガルのA子さんは、有名女子大の経済学部を卒業後、大手外資系企業に入社。希望していた人事部に配属され一貫して採用業務に従事してきた。英語力や仕事ぶりを評価され、昨年スーパーバイザーに昇格。採用業務にそれなりに面白味を感じていたA子さんだが、人事制度企画や労務管理など他の仕事も経験したいと思い始めていた。しかし、異動の希望はなかなか受け入れてもらえない。
会社の業績悪化に伴い中途採用のニーズはなくなり、最近では派遣社員の採用ばかり。そして遂に、海外本社から人員削減の通達が届き、早期退職を募りはじめた。
A子さんも、それならばこの機会に社外でキャリアアップしようと考え、早期退職に応募した。採用の経験から「転職市場については知っている」という自負もあった。
しかし、いざ活動をはじめてみたものの希望に見合う求人が少ない。面接まで進んだところもあったが、結果的にどの企業とも縁がないまま退職日は2ヶ月後に迫り、A子さんは焦り始めていた。

インフィスの現状分析とコンサルテーション

経歴、人物ともに平均以上の人材と言えるA子さんが苦戦している大きな理由として、人事経験の幅の狭さが挙げられる。加えて、経験してきた採用業務以外の人事求人にこだわって探していることもネックとなっている。
コンサルタントは、A子さんに以下のようにアドバイスした。

採用に関する幅広い経験と知識がA子さんの強みといえるので、その採用業務をはずして求人を探そうとすると難しい。経験をあまり問わないポテンシャル採用は対象が若手人材に限られるため、A子さんはそれにはあたらない。そこで今回は、採用経験を活かせる求人を軸として、人事部内で定期異動がある企業や、採用業務に加えて他の領域も担当できるような求人を探しましょう。

A子さんのその後

今後のキャリアプランについてよく考えた上で自分の希望をコンサルタントに伝え、その結果、紹介された外資系消費財メーカーの採用スペシャリストに応募し、面接に臨んだ。人事部内で定期異動があると知ってその企業に興味を持ったのである。A子さんは、採用経験と英語力については自信があること、そして採用以外の領域にも大変興味があり将来は人事ジェネラリストとして活躍したいという意欲を2回の面接の中で積極的にアピールし、退職日直前にとうとう内定を得ることができた。

コンサルタントの所感

平均以上の人材であるA子さんが転職に苦戦した原因は、自分の希望ばかりを優先し、“即戦力採用”を希望する企業のニーズとズレがあることに気付けなかったことにある。
A子さんが内定を獲得することができたのは、プロのコンサルタントに相談した結果、転職活動の問題点がはっきりと見えるようになったことや、アドバイスを受け入れて活動方針を明確にしたことがきっかけとなって、希望に見合う求人が見つかったためである。
転職が難しくなっている昨今、どのような仕事に就いているにせよ、自分自身のキャリアプランを常に考え、付加価値をつけて「売れる」人材となることも厳しい社会を生き抜くひとつの方法であろう。


ケース2

Bさん(26歳)転職先が決まる前に退社。予想外の苦戦に戸惑う一流大学出身者。

経歴と活動状況

国立大学理工学部を卒業後、電子部品総合商社へ入社。半導体製造装置のテクニカルサポートエンジニアとして3年になるが、上司との反りがいまひとつ合わない。仕事で指示書や製品仕様書を書いたことがきっかけとなり、テクニカルライティングの仕事に就こうと決心し、退職した。
退職前から活動はしているものの、テクニカルライターを募集している出版社やマニュアル制作会社で全くの未経験者を採用するところは少なく、就職活動は難航。退職からすでに半年が経過し、「こんなはずではなかった」と思わぬ誤算に慌てている。

インフィスの現状分析とコンサルテーション

Bさんは若くポテンシャルがあるとはいえ、キャリアチェンジを計るにはそれなりの高いハードルがある。また企業は、「次が決まってもいないのに退職する」という考えの甘さを指摘することが多い。さらに、学校推薦で前の企業に入社したBさんは、就職活動の経験が殆どないため、面接という場で自分をうまくアピールできていない懸念もある。
コンサルタントがBさんに模擬面接を行った結果、コンサルタントは、これではとても内定は貰えないと判断した。未経験の職種に応募した場合、面接で自分の意欲や熱意を十分アピールする必要がある。しかしBさんは仕事そのものに対する考え方が甘く、残業時間や希望勤務地を限定し、それを堂々と応募書類にも書いている。また、面接の場でどういう言動を取るべきかについても、全く知識がなかった。コンサルタントは、Bさんに面接トレーニングを実施し、以下のポイントを指摘した。

  1. 自分の経歴や強みを、要領よく簡潔に話す。
  2. 頭に浮かんだことをそのまま口に出すのではなく、常に採用する側の立場に立った発言を心がける。
  3. 前職の悪口は言わない。「これが不満だから辞めた」という後ろ向きの転職理由ではなく、前向きな理由を述べる。
  4. 事前に企業研究を十分行い、志望動機を具体的に述べて熱意をアピールする。
  5. 面接で必ず聞かれる質問事項は、予め答えを用意しておく。

Bさんのその後

面接の練習を重ね、十分な準備をすることで、Bさんの面接での言動は劇的に改善された。もともと経歴、頭脳ともに平均以上のBさんは、その後紹介されたコンピュータ関連書籍の出版社への入社を果たし、テクニカルライターの仕事に意欲的に取り組んでいる。

コンサルタントの所感

転職活動は、Bさんのケースのように、当初の予想より難航することが多い。在職中に次を決めるということは、転職活動におけるゴールデンルールである。また、面接で人物判断に黄信号が灯れば、どんなに経歴のいい人材でも企業は内定を出さない。面接の場でありのままの自分を表現してそれが評価につながるよう、日ごろから自分のキャリアについて真剣に考え、情報収集や自己研鑽を怠らない姿勢を持つことである。